オンラインでカスタムオーダーのスーツを制作”La Fabric” インタビュー
ぺーたろーです。
オンラインでのカスタムオーダーサービスであるLa Fabricを展開する、ライフスタイルデザイン社の森社長にインタビューをさせていただきました。
La Fabricってどういうサービス?という方はこちらをご覧下さい。
sproutでは潜在顧客からのフィードバックが貴重な機会
– 登壇者としても、オーディエンスとしてもsproutに来ていただいていますが、感想を教えて下さい。
普通にビジコンに比べると、かなりカジュアルで登壇者とオーディエンスの距離が近いですよね。
BtoCベンチャーにとっては、顧客と直に話せるので嬉しいですね。
– オーディエンスとはどんな話をしたのですか?
実際に測って欲しいとか、記事のサンプルがみたい、といった話がありました。
その話から、実際に「生地ブック」を作成して、お客様に送れるような施策を試すことにしました。
僕らはインターネットのビジネスをしているのでオフィスにこもりがちで、ともするとお客様と会わないのです。また、sproutに来ているのはアーリーアダプター。ディスカッションベースで色々な話が聞けたのは参考になりました。
– 最近は、イベントや出張してリアルな実測会をしていると聞いています。顧客の反応はどうですか?
sproutや他のイベントで、ブースに来ていただいたお客さまの採寸を始めました。測れるタイミングがあったら、そのときに測ってもらったほうがあとあと購入のときに楽なんです。測ってもらっておいて、後から実際に購入されたこともあります。採寸会の反応はいいですね。La Fabricのことは知ってくれていて、「やってみたかった」といってこの機会に採寸してくれる方が多いです。
BtoC・ITサービスの経験と放浪を経てLa Fabric へ
-La Fabricを始めるまでの経歴と、それが今どう活きているかを教えてください。
最初はソーシャルアパートメントを展開するグローバルエージェンツ社で働いていました。今のコンシューマーは選択肢がいっぱいあるわけで、よっぽどの理由がないと選んでもらえないんです。その理由がないと価格競争に巻き込まれてしまう。
シェアハウスの多くは一緒に住んで安くしよう、というものだと思いますが、ソーシャルアパートメントでは「よりよい生活をしよう」というコンセプトをもってサービスを展開していました。ソーシャルアパートメントではBtoCビジネスを学び、この経験が今に活きています。
このあと、ヨーロッパを中心に30カ国くらいを放浪していました。ここでも感じたことがあって皆”Made in Japan”への信頼を持っているし、好きなんです。家電とか車は特に。本当かはわかりませんが、イタリアにはイタリア車より日本車が多いということを言っている人もいました。なぜなら10年乗っても壊れないから。そのくらい日本のものは信頼されていて、驚いたのを覚えています。
次に働いたのはメルカリという会社です。スマホで簡単に出品・購入ができるフリマアプリを運営しています。これはバッチリのITサービス。その作り方、スケーラブルなサービスを作るやり方を学びました。
オーダーメードを身近なものにしたい
-La Fabricを始めた経緯を教えて下さい。
まず、僕がもともとアパレル業界にいたんです。そのときから、日本のアパレル構造は海外にくらべていびつだな、と感じていました。日本のアパレルは自分たちでデザインせず、OEM・ODMに依存していました。今はファストファッションや海外勢と戦わないといけないず、このままでは日本のアパレルは危機的状況になる。この現状を何とかしたいと思いました。また、アパレル業界はITの進出が遅れている分野です。業界としてITリテラシーが高いわけではなく、そこに課題とチャンスがあると思ったのです。
そんなときに、僕は背が高かったり、腕が長かったりして、既成品が合わないことが多くて悩んでいたのですが、そんなとき友達に勧められてオーダーメードでシャツとスーツを作ってみたら「こんなにぴったりになるんだ!」と思って感動したんです。オーダーメードってスゴい。ぴったりだし何より疲れない。
でも、オーダーメードを体験したことがない方は、その感動を知らないわけです。高いし、なんか敷居が高い。なので、オーダーメードを身近にしたい、ということでLa Fabricを始めました。
日本のアパレルは、それぞれがそれぞれのやり方をしていて、ガラパゴス化しているように見えます。独立すると中間業者も増えて、工場は取り分が減っちゃいますね。取り分が減ると給料が減るので若者が入ってこなくて廃業してしまう。なので僕らは中間流通を通さず、自社ですべて商品企画やデザインをし、縫製工場と直接契約をしています。顧客にも工場にも適正価格で取引をしています。
-今後海外への展開も考えているのでしょうか?
リソースの問題で今はなかなか対応しきれていないですけど、もちろん考えています。先程も言いましたが、日本製は信頼性が高いし、世界に発信してきくべきだと思っています。
まだLa Fabricのサイトは海外対応していないのですけど、それでも海外の方からのお問い合わせは結構頂いています。例えば、日本に住んでいる海外の方は既成品だとなかなかサイズが合わず、オーダーメードとしてLa Fabricに行き着いてくれているようです。あた、日本に旅行で来てくれたときにオフィスまで来ていただいて特別に採寸している、といったこともあります。
-最近ネクタイの取り扱いを始めました。オーダーメード以外の取り扱いをしたのはなぜなんでしょう?
確かに、ネクタイはオーダーメードではありません。繰り返しになりますが、La fabrocは良い職人さんやいい工場が活躍できないということを問題意識として持っています。今回取り扱いを始めたネクタイは、自分で言うのもなんですが、すごくいい商品です。でも、普通のブランドとして普通のチャネルで売ると、買い叩かれたり変な売り方をされてしまうことが多いのです。僕らはそういうことをしない。あるべき価値をあるべき値段で販売していきたいんです。
-そうするとLa Fabricは、必ずしもオーダーメードブランドではない、ということでしょうか。
オーダーメードの機能は持っていますし、それが主要事業です。ただ、それにこだわっているわけではないですね。「顧客にいいサービスやいい商品を届ける、顧客のライフスタイルに合ったものを届ける」というのが信条です。そのための手段が、忙しい中で簡単にオーダーメードができるLa Fabricだったり、出張採寸だったりするわけです。
折角いいスーツを買ったのだから、それに合う良質なネクタイを選びたい、というニーズに応えるためにも、今回のネクタイの企画を実施しました。
将来は羊を飼っていい商品を作りたい
-今後の展開を教えて下さい。
将来的には、牧場を作って羊を買いたいんですよ。最近、食の安全やトレーサビリティが問われていますけど、衣類の安全性やトレーサビリティも重要になってくると思います。羊毛を作るところから始めっるって、最高のトレーサビリティじゃないですか。その羊に会いに行けたりなんかしたりして。それは百貨店じゃなかなかできないですよね。
今の消費者は単純にモノを買っているわけではなく、その裏のストーリーも気にしています。自分の着る服がどう作られているのかを確認したり、どんな人達がどんな思いで作ったのかを知ることもこれからの時代は重要になってきます。そこの発信を強化していきたいですね。
また、今まではwebを中心にやって来ましたし、これからも続けて来たのですけど、イベントの催事とかポップアップストアも展開していきたいです。オーダーメイドにはまだまだ敷居の高さがありますが、こういう場に気楽に来てくれるようになれば、オーダーメードがもと身近になっていくと思います。今まではテーラーメードは、心構えをもってお店に行って、1時間位かけてスーツを作ってきたわけです。僕らはそこをもっと手軽にしていきたい。もちろん質を重視しながらです。
オンラインカスタムメードのLa Fabricを展開するライフスタイルデザイン社の森社長にインタビューさせていただきました。オーダーメードはすごく着心地がいいものの、まだまだ価格も敷居も高く一般的ではないとのこと。それらを乗り越え、オーダーメードを誰でも使うものにするというLa Fabricに今後も注目です。